まずはデモビデオをご覧下さい。
外気への開放度合いを物理的に調整する新しいヘッドセットです。
このヘッドセットにより、新しい音楽鑑賞体験・音楽表現方法、知的生産活動環境制御、交通安全支援、および環境認知・対人コミュニケーションに関する支援を提案します。
「目に蓋あれど、耳に蓋なし」と言われます。言うなればOpenness-adjustable Headsetはインターネット接続されたスマートな「耳の蓋」です。
ユーザ・集合知・人工知能に開閉を制御させてヒトの聴覚や社会性を拡張します。
現在ヘッドセットには、耳を塞ぐ形で使用する密閉型、あえて外気をとりいれる開放型、また開放型の一種として直接振動により音を伝える骨伝導型などが存在します。これらには、
などの特徴があります。しかしこれらの特徴はヘッドセットの物理的構造によって実現されており変えることができません。
そこでモータ制御により密閉型と開放型に変形可能な機構を備えたヘッドセットを開発しました。
これによって上記のような特徴をユーザが能動的に選択できるようになります。
しくみ
フィジカルコンピューティングツールキットkonashiを使い、スマートフォンから指示を出し無線でサーボモータを制御し開閉をコントロールします。arduinoでももちろん動作します。
ヘッドセットのハードウェアは市販のヘッドフォンを分解し、3Dプリンタで出力した可動部と組み合わせました。音響の発生はbluetooth接続の骨伝導スピーカで行います。
ソフトウェアはjsdo.itで書きました。またnode.jsのサーバーとしてMicrosoft Azureを活用しています。一部Javaも使っています。
タクシーの運転手や美容師が不必要に話しかけてうっとおしい、というのもよく聞く話ですよね。
古来より、両耳を手で塞ぐというジェスチャーには「聞きたくない」という意味と同時に「やめてほしい」という、哀願のニュアンスがつきまとっていました。提案システムを用いることにより、自分の聴覚にアクセスしようとする外敵に対し我々は毅然とした態度で「あなたにはその資格がありません」というアピールができるようになるのです。
外側に窓がスライドして開閉します。デモビデオで採用しています。細かく開放度を制御できます。見た目にもわかりやすいです。
ガルウイング機構を採用したモデルです。開放度は閉める・開けるの2段階ですが、閉めた時の密閉度を高くすることができます。見た目にもわかりやすいです。
開閉機構を目立たなくしたバージョンです。扇型に180度だけ開閉します。
開閉が目立たなくて良いのですが、本ヘッドセット開発においては「外からこの人を見たとき、この人に話しかけても聞き取ってくれそうかどうか」が自明にわかるようなデザインを考えることがひとつのテーマであるため、その点でMoonはちょっと物足りません。
デモビデオにおいても、視聴者にわかりやすく開閉度変化を伝えるにはMoonよりもButterflyのほうが優れていると感じ、そちらを採用しました。
まずなんと言っても、現在はハードウェアむき出しのプロトタイプなので、もうすこしカッコよくデザインしなおしたいです。ソフトウェアも機能むき出しなので、デザインが課題です。
このほどKickstarterに登場して資金を募っている「Here Active Listening」は、耳栓型のデバイスであり、マイクで集音した外界の音響をリアルタイム処理して好みの音響に変質し、ユーザに聞かせることができるシステムでです。
このようなシステムが話題を集めることからも、外界の音響とユーザが聴取したい音楽等の人工的音響をどのように組み合わせるかを考えるプロダクトの将来性が垣間見られます。その上でHere Active Listeningと提案システムの相違点として強調したいのは以下の2点です。
なお、このほど改正された道路交通法によって、自転車運転時のヘッドフォン装着の危険性、および骨伝導ヘッドセットのように物理的に開放されている機構の安全性の議論などが活発になってきています。物理的に開放可能であり、開閉状態が他者から視認でき、かつ状況に応じて開閉可能であるという提案システムの特性はこのような議論に一石を投じるものとなると期待します。